Department of Materials Science and Technology
Faculty of Advanced Engineering
Tokyo University of Science
2024M-400 @ 公益財団法人JKA補助事業
航空宇宙用構造部材としての全元素ハイエントロピー材料の創成
(競輪の補助事業の助成を受けて実施しました)
金属元素と非金属元素の双方を複数種含む
設計した非金属を含有する合金を多孔質な炭素基材に含浸させることで,全元素ハイエントロピー材料を作製した。

非金属元素を含む合金の設計
系は五元系であり疑三成分系で表現している。各元素及びそれらの相互作用を考慮した自由エネルギーを算出し,計算熱力学的な手法で安定相を予測した。
(各元素は論文投稿中のため,記載していない。)
融点1500℃程度の合金組成とし,これを溶融・多孔質な基材に含浸することで複数の非金属元素を含む
多元素材料の作製を試みた。
非金属を含有する合金の
含浸による複数種の非金属
元素を含む多元素材料の作製
設計した合金は1750℃程度の不活性雰囲気で基材
(C/C:炭素繊維強化炭素)内に完全に含浸していた。
組織・組成分析により非金属元素を複数含む多元素材料の作製が確認できた。



大気圏再突入や極超音速巡航環境(2000℃以上,酸化雰囲気)を模擬できるアーク風洞試験により,作製した多元素セラミックスの損耗挙動を評価した。加熱率2~8MW/m2のハイエンタルピー気流(模擬空気(N2:O2 = 4:1))を曝露し,最大1900-2700℃程度まで加熱したところ,表面は複雑な組成を有する酸化物に覆われた。また,損耗量は基材であるC/Cと比較して最大40~50%程度軽減したことから,作製した非金属元素を複数含む多元素セラミックスはSiを含んでいないにもかかわらず,従来のSiO2の酸化被膜を形成する耐熱材料と類似の酸化挙動を示すとわかった。今後は,損耗量の減少に最も寄与するパラメータを特定することで,耐熱材料開発の指針を提案することを目指す。